フロント担当者は、管理組合の運営や資産価値の優劣を左右する重要な要因だ

マンション管理_コンサルタント_フロント担当者

「管理業界 50年の課題④『提案・合意形成・サービス意欲の乏しい担当者』」のページで記したように、管理会社の理事会担当者といえる「フロント担当者」には、

  • 提案がない・理事会から言われなければ動かない
  • 理事会の議論をまとめるファシリテーション(合意形成)能力がない
  • 顧客(管理組合)の利益のために働くというサービス精神やモチベーションが低い

という「3ない体質」(提案がない、合意形成能力がない、サービスマインドがない)であり、「3ない体質」は管理会社そのものが生み出した姿勢によるものです。


この、管理会社の「3ない体質」が、マンション管理組合の「過去」「現在」「未来」にどのような影響を与えるのでしょうか?


マンションの「過去」を一番知っているのフロント担当者なのに、、、
管理会社のフロント担当者は、理事会の任期が1~2年で入れ替わってしまうほとんどの組合員よりも、そのマンションのことを把握し得る立場にいます。

もちろん管理員のほうがマンションの現場や居住者のことは把握していますが、あくまでフロント担当者の指揮下にあることを考えると、やはりフロント担当者が最も広く把握し得る立場にある、と言えるでしょう。

また、フロント担当者には、管理組合の理事会や総会に出席して、議事録の作成に携わる業務があります。
議事録は「古文書」のようなもので、内容を正確に記録できれば、マンション管理組合の過去の歴史の記録に関わることになりますし、議事録の写しは当然管理会社に保管されています。

過去の理事会や総会で、どんな議題が話し合われ、どのような意見が交わされ、どう決まったのか(決まらなかったのか)について、もっとも良く把握できる立場にいるのが管理会社であり、実務者であるフロント担当者です。

しかし、フロント担当者の多くは、上述の「3ない体質」に当てはめてみると、
  • マンションの過去のことは理事会から聞かれなければ答えない・過去の議事録を振り返ろうとしない・長期間勤めている管理員から細かくヒアリングしようともしない
  • マンション過去のことを知っていても、声の大きい現役理事がいると流されてしまい、過去の歴史を踏みにじってしまうことに加担してしまう(合意形成能力がないために起こる)
  • 過去の管理組合(理事会)が真剣に話し合ったプロセスを現理事へ伝えず、未来へつなげようとする気持ちがない
といった姿勢であるフロント担当者が実に多いです。

つまり、過去の理事会役員が真剣に議論して決めてきたことが、そのまま過去に葬り去られるリスクが、フロント担当者の取り組み姿勢ひとつで発生してしまうのです。


よく、総会の場で、過去に理事会役員を経験した組合員から

「それは自分の代の理事会で、、、◯◯年前の総会で、、、◆◆◆という結論になったはずだ。」
「過去の理事会や総会でのやり取りを確認したのか?議事録は見たのか?」
「管理会社はなぜ助言しないのか?」

という指摘がなされ、総会の場が騒然とするシーンを見かけますが、これは現役の理事会役員が悪い、というよりも、管理会社(フロント担当者)が過去のことを理事会へ説明するなどフォローがなかったために起こる話なのです。

もちろん、過去の経緯を全部「踏襲する」必要はありません。過去の経緯を理解したうえで、現状の見直しをすることは健全なことです。
問題は、過去の経緯を知らないで先に進むことです。
管理組合の継続性や一貫性に対する冒涜であり、住民間(過去の理事会役員経験者と現在・未来の理事会役員)との軋轢の原因にもなってしまうのです。

フロント担当者のフォローが期待できないなら、管理組合(理事会)が、過去の出来事にいつでもアクセスできるような仕組みを作らなければなりません。
これはとても骨の折れる作業です。


マンションで起こっている「現在」の課題へ適切に助言しないフロント担当者
マンション管理会社 フロントマン 提案 やる気 意欲がない
管理会社のフロント担当者は、理事会の任期が1~2年で入れ替わってしまうほとんどの組合員よりも、マンションのことを把握し得る立場にいることは、上述のとおりです。

フロント担当者は、理事会支援業務について、はっきり言えば、
「汗をかくこと」も「手を抜くこと」も、できてしまいます。

あなたのマンションで管理会社と締結している「管理委託契約書」や「重要事項説明書」を一度手にとってみてください。

契約書の本文ではなく、その後ろについている「別表」です。
「別表」も何ページかめくると、「理事会支援業務」という記載があります。

恐らく、以下のような文が書いてないでしょうか?

^^^ここから^^^^^^^^^^^^^^^^^^


(1) 理事会支援業務

① 組合員等の名簿の整備
甲の組合員等異動届に基づき、組合員及び賃借人等の氏名、連絡先(緊急連絡先を含む。)を記載した名簿を整備する。

② 理事会の開催、運営支援
一 甲の理事会の開催日程等の調整
二 甲の役員に対する理事会招集通知及び連絡
三 甲の求めに応じた理事会議事に係る助言、資料の作成
四 理事会議事録案の作成

③ 甲の契約事務の処理
甲に代わって、甲が行うべき共用部分に係る損害保険契約、マンション内の駐車場等の使用契約、第三者との契約等に係る事務を行う。 


^^^ここまで^^^^^^^^^^^^^^^^^

これは、国土交通省が例示する「標準管理委託契約書」
つまり、マンション管理会社(業界)に対して提供している「管理会社と管理組合との委託契約書の見本」です。

管理会社の多くは、この見本に準拠して自社の契約書を作成しています。


理事会の「開催支援」「運営支援」を見ると、

 三 甲(管理組合)の求めに応じた理事会議事に係る助言、資料の作成

との一文が記載されています。

助言のレベルがどれくらいかは、はっきり言えば「フロント担当者が持っている能力や経験の限り」ということになるのでしょう。

また、助言の頻度は、 「管理組合からの求めに応じて」ということは、「管理組合から求められなければ応じない」とも読み取れます。

助言のレベルや頻度を定量化することは難しいので、この文書について賛否を言うつもりはありません。しかし、やはり「理事会から聞かれなければ対応しない」フロント担当者の多いのが現状です。


これを、フロント担当者の「3ない体質」を当てはめれば、
  • 理事会から聞かれなければ答えない(自社の売上につながる回答になれば積極的)
  • 助言できる知識があっても、合意形成能力が低く話がまとまらない
  • 助言できるだけの経験を持っていても、自分の仕事が増える可能性があれば積極的に言わない
といった姿勢であるフロント担当者が、実に多いです。


一定数のフロント担当者は、「余計な仕事を増やしたくない」というマインドで、あえて助言しないという姿勢がかなり定着しています。


また、もちろん若い・転職して日が浅いなど、絶対的な能力不足・経験不足のフロント担当者は仕方ありませんが、理事会の場で有効な助言が即答できなければ、一度会社へ持ち帰り、次の理事会で助言すれば良いだけです。

しかし、そのような誠実な対応を取るフロント担当者は少ないと、共同代表の松原・深山ともに、何百もの他社が管理するマンションの理事会へ出て、実感しています。


また、そもそも管理組合(理事会役員)の多くが、この管理委託契約書や重要事項説明書を細かく読んでいないことや、不満や疑問に思っていてもなかなか言い出せない日本人が大多数で構成される理事会であることからも、

「フロント担当者にはどれくらい依頼・相談しても良いのか?」
「課題は全て自分たち管理組合でアイデアを出して解決しなければならないのか?」
「もっとフロント担当者からアドバイスがあっても良いのではないか?」
「フロント担当者は他のマンションも担当して事例を持っているはずなのに、なぜ黙っているの?」
「大手の管理会社なんだから、これくらい解決事例がないの?」

と心の中で思っていても、なかなか言い出せないのだと思います。


「小規模マンション」「投資用マンション」で理事会を開かせないフロント担当者
上述した、国土交通省が例示する「標準管理委託契約書」の別表(理事会支援業務)の中に

一 甲の理事会の開催日程等の調整
二 甲の役員に対する理事会招集通知及び連絡

がありました。
フロント担当者の仕事として、理事会を開催するための準備を手伝う、というものです。

この「理事会を開催する」ことを、小規模マンションや投資用マンション・リゾートマンションで作為的に提案しない(させない)フロント担当者が、とても多いのです。


理由は、実にシンプルで、

・理事会を開いても理事が集まらないから
・理事会を開いても課題がないから


つまり、

・面倒だから
・仕事を増やしたくないから


です。管理会社としての仕事を増やしたくないために、フロント担当者は、理事会を極力開催しない方向へ持っていくのです。

執行部である理事会に情報を提供せず、自分が楽できるように作為的に理事会を開催しない、、、このようなフロント担当者の姿勢には呆れるばかりです。


将来を見据えた予防・改善・改良の提案をしないフロント担当者
修繕積立金の値上げに反対(クローバーコミュニティ)
そして、管理会社のフロント担当者には、担当するマンションの「将来」を想像し、予防的な提案することはありません。

また、管理組合の執行部である理事会の運営を改善させたり、理事会運営に継続性や一貫性をもたせるような提案を自発的にすることはありません。

さらに、居住者の住み心地や資産価値の向上を目指すような提案もまずありません。皆無と言っても良いでしょう。


これは、そもそも管理会社の発想は、「マンションの日々を守る」つまり管理員の派遣や清掃・設備保守・機械警備といった業務を着実にこなすことが重要で、マンション管理組合の将来を描くなど、そもそも管理委託契約の業務内容に入っていない、というところでしょう。


基本的に管理会社の管理組合に対する支援は「対処療法」です。
何かトラブルが起こってから考え対応する、というスタンスです。

その最たるものが、「修繕積立金の不足問題」ではないでしょうか?

新築分譲時にデベロッパー(分譲主)から提示された長期修繕計画は、「各戸に設定された当初の修繕積立金の額では将来的には足りません。将来的には管理組合で話し合って値上げを検討してください。」というスタンスで作られています。

しかし、マンションを購入した組合員の多くが、

・将来において修繕積立金が足りなくなることを知らない
・いつかは管理会社が値上げを提案してくれるだろう

といった「無知または受け身」の状態です。知識がないので仕方がありません。


一方、管理会社はマンション管理のプロです。長期修繕計画を見れば、修繕積立金が将来において確実に不足することはわかっています。

それにもかかわらず、値上げを積極的に提案しないフロント担当者が多いのです。

また、提案しても「値上げしたくない」という、事情が理解できていない組合員の強い声に対し、安易に妥協して値上げ案を引き下げてしまうのです。

あるいは、修繕積立金の値上げを管理組合へ提案することで「値上げは仕方ないけれど、その前に節約できるところはないのか?」と、管理会社の収入源である管理委託費の削減圧力というカウンターが返ってくることが怖いのです。

これは、前述のページ「マンション管理業界50年の課題②『親会社志向・二重価格で二律背反』」で書いたとおり、新築時から管理を受託している管理会社にとって、管理委託費はかなり割高に設定されていることを管理会社自身がよく理解しているため、管理委託費の減額につながるような話を管理組合へしたくないのです。

藪をつついて蛇が出ることは避けたいのです。


マンションの将来に対するフロント担当者の対応は、上述の「3ない体質」に当てはめてみると、
  • 管理組合の将来のことは全く考えていない・聞かれても回答できない(描けない)
  • 予防・改善・改良の提案をしたとしても、声の大きい組合員からの反対があると流されてしまい、引っ込めてしまう(合意形成能力がないために起こる)
  • 住み心地の改善や資産価値の向上につながるような提案も、結局自分の仕事を増やすことにつながるため(そして自らの管理委託費の減額につながる可能性があるため)、提案しようとする気持ちがない
といった姿勢であるフロント担当者が多いです。


これに加え、管理会社そのものの姿勢として、フロント担当者に対し、

管理会社_理事会_支援_サポート

「一定以上の余計な仕事は増やさない」
ことを求めます。マンション管理業界全体の姿勢でもあります。

管理委託費は、フロント担当者の頑張りの多寡にかかわらず、月額◯◯万円、年間◯◯◯万円、と料金は常に一定です。

つまり、
「貰える委託料が一定で確定しているなら、働かないほうが儲かるビジネスモデル」
なのです。

一人のフロント担当者に、一件でも多くの管理組合を担当させたほうが、利益率は高まります。


大変うがった見方ですが、

・管理委託契約を解約されないように、契約書に明記されている定量的な業務はこなし、
・理事会の頻度を減らすようにし、理事会が管理運営に関心を持たないように仕向け、
・フロント担当者の負荷を減らして沢山の物件を受け持たせる

これが、管理会社間の競争原理があまり働かず、報酬(管理委託費)は仕事の質や量を問わず常に一定額であるマンション管理業界の現状なのです。


このような業界の体質に染まったフロント担当者が、あなたのマンションの将来を真剣に考え、管理組合に対し予防・改善・改良の提案をするでしょうか?


フロント担当者は良きコンサルタントであるべきである
住み心地と不動産価値を上げる管理会社
当社、クローバーコミュニティでは、フロント担当者の教育方針として
「良きコンサルタントであるべき」を掲げています。


「管理費から中間マージンを一切とらない提案」
「大規模修繕工事でリベート(バックマージン)を一切取らない考え方」


が、フロント担当者の「真に管理組合の利益になる提案ができる環境」を保証しています。
他の管理会社は、「中間マージンやリベートがもらえる提案」を第一に考えており、フロント担当者にはコンサルタントになる資格すらありません。


そして、当社のフロント担当者には、マンション管理コンサルタントとして叩き上げてきた経験を共有し、担当するマンションの「将来」をお客様と共に憂い、予防・改善・改良提案を積極的に打ち出し、住み心地と不動産価値の向上へ貢献するコンサルタントであることを求め、社として常に目指します。


そのためには、お客様の住まいの価値を高めたい、という「情熱(サービスマインド)」「合意形成能力」に加え、「問題解決(整理)能力」「提案力」がフロント担当者に必須の能力です。

一朝一夕に上達する能力ではありませんが、コツコツと積み上げて、他の管理会社の数百倍もお役に立てるフロント担当者を育成することで、

「フロント担当者=良きコンサルタント」を実現させてみせます。


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