管理会社変更(リプレース)の直接の引き金「フロント担当者」の「3ない体質

マンション管理会社_保守的_動かない_遅い


「マンションの管理会社」と言って多くの方が想像する「人」は、管理員であり、清掃員であり、大規模なマンションになればコンシェルジェや警備員、と言うでしょう。

そして、年1回の通常総会に出席すると、出欠票を集めて集計したり、総会の司会進行をサポートしたり、時には議案を読み上げたりする「人」と会います。

また、あなたが理事会役員に選出され、理事会へ出席すると、テーブルや椅子を並べ、資料を配布し、あなたと一緒に議論へ参加する「人」との接点が急激に増えます。

そう、フロント担当者です。


フロント担当者は、管理会社にとって、管理組合(顧客)対応の窓口(フロント)として、どのマンション管理組合にも必ず設置されています。

フロント担当者は「窓口(フロント)」であり、「営業マン」ではありません。
担当者は、自らが苦労してマンション管理組合の新規開拓をしたり、管理業務の受注活動をする経験がほとんどありません。

フロント担当者には、はじめから顧客(管理組合)用意されています。
◯棟のマンションを担当することで、安定的な給与が会社から保証されます。

そのため、フロント担当者は「サービスマン」ではなく「事務的」な対応になりがちです。

これに加え、前ページ「管理会社の『受け身・守り・動かない』企業文化」で記したように、保守的過ぎる管理会社による採用・教育・研修を経て会社に一定期間在籍すると、マンション管理会社の典型である「提案・合意形成・意欲の乏しいフロント担当者」が生まれやすいのです。


我々はこれまでのキャリアの中で、仕事柄、他社の管理会社フロント担当者をたくさん見てきました。

その中には、
  • 理事会議事録がなかなか出て来ないなど、仕事のスピードが遅い
  • マンション管理に関する専門知識が足りない
  • コミュニケーション能力が低い
という基本的な問題を抱える人も結構多いのですが、ここは割愛します。
  • 提案がない・顧客から言われなければ動かない
  • 理事会での議論をまとめるようなファシリテーション(合意形成)がない
  • 顧客のために働くというサービス精神やモチベーションが低い 
管理会社の規模にかかわらず、ほとんどのフロント担当者が共通して、これらの一つまたは全てに該当します。

能力というよりは、姿勢の問題です。そしてその姿勢を作るのは、管理会社の

3ない体質

に問題があるのです。


1)フロント担当者には「提案」がない
マンション管理会社_フロントマン_提案_対応_不満
例えば、理事会の席で、フロント担当者が積極的な提案を自発的にするシーンに出会ったことはほとんどありません。極めて事務的な人が多いです。

大抵の場合、理事会から依頼や要望・指示があって、初めて動くフロント担当者がほとんどです。
まるで
「理事会がオファーしなければ一生このまま何も提案しないのではないか?」
「フロント担当者は何しに理事会へ来ているの?」
と疑ってしまうほどです。

たまにフロント担当者から提案があるとすれば、上からの指示で管理を受託するマンションへ画一的に出したものか、自社の売上になる(中間マージン・バックマージンに繋がる)ようなものばかりです。

提案内容が未熟でも、管理組合のニーズやウォンツを的確に捉えていなくても良いのです。まずはフロント担当者が担当する管理組合の課題を見つけ、自発的に問題提起し、改善(改良)案を出す。

このアクションができなければ「フロント担当者は単なる管理会社の窓口担当」であり、理事会のアドバイザーにはならず、頼りにならない存在、ということではないでしょうか。

「言われてから動く」「個別の管理組合の課題に即した提案をしない」残念なフロント担当者が本当に多いのです。


2)フロント担当者には「合意形成能力」がない
マンション管理会社_フロント担当者_提案力_合意形成
フロント担当者は、複数のマンション管理組合を担当し、多数の理事会や総会の場に出席していますから、理事会や総会・住民説明会等での組合員間の議論が円滑になっていないケースにたくさん遭遇し、経験しているはずです。

また、フロント担当者は、理事会や総会での議題・懸案事項に関し、過去の経緯を最も把握できる立場にいますし、事前に周辺情報を勉強したり参考資料を用意するなど、組合員間の合意形成を促進するための前準備ができるポジションにいます。

しかし、多くのフロント担当者は、合意形成の支援ができません。

例えば、理事会の場でフロント担当者は、理事役員同士の議論にほとんど自分から入り調整することができません。

たとえ理事会役員同士の意見が対立したり、逆に意見が全く出ない沈黙状態が続いても、割って入るフロント担当者はほとんどいませんし、役員同士の議論が噛み合っていなくても、前提条件をわかりやすく補足説明し、共通理解を促すような調整に入るフロント担当者も非常に少ないです。

理事会役員の中に合意形成能力のある方がいれば、円滑な議論になりますが、そのような方がいない場合、円滑な議論を助けられるのはフロント担当者しかいません。それにもかかわらず、助けられないのです。

フロント担当者が、理事役員間のやり取りの傍観者になっているのです。
むしろ、人生経験豊富な管理員が理事会に出席しているほうが合意形成の役に立つことが多い位です。

また、フロント担当者は、理事会が結論を出すところにコミットしません。
「理事会で結論を出してください。」というスタンスです。

自分の発言やアドバイスが理由で理事会が間違った方向へ進んだ場合の責任(リスク)を取りたくないのではないか?と疑いたくなるほど、管理組合の決議にコミットしません。

合意形成の能力(ファシリテーション)が低いこともありますが、「理事会の話し合いや、もっと言えば管理組合の運営へ積極的に関わろう」「お役に立ちたい」というプロとしてのスタンスに欠けている、ということではないでしょうか。


3)フロント担当者には「サービス精神」がない
マンション管理会社_フロントマン_サービス業_対応
「顧客のために働くモチベーションが低い」「サービスマインドが非常に少ない」
という方が適切かもしれません。

冒頭で書いたように、そもそもフロント担当者は自らが苦労してマンション管理組合を新規開拓したり、マンション管理の仕事の受注活動をする経験がなく、はじめから顧客(管理組合)=自分の給与(飯のタネ)が用意されていることから、「サービスマン」ではなく「事務的」な体質になりがちです。

管理会社の営業部門が新規で管理物件を受託し、フロント担当者へ割り振られることを

「また担当物件(=仕事=負担)が増えた」

とネガティブに捉えるフロント担当者がどうしても多くなってしまうのです。
これは管理会社の評価制度による影響かもしれません。

そもそも、マンション管理会社はフロント担当者に「サービスマン的な要素」よりも「事務遂行能力」を求めているフシがあり、管理組合のために体だけでなく「頭と心」に汗をかくサービスマインドを求めていないとしか思えません。

そう確信する理由として、フロント担当者の上司は、担当者が個々の管理組合へイレギュラー対応や一歩踏み込んだサービスを提供することに消極的であり、「一つの管理組合の仕事をし過ぎると物件が多く抱えることができなくなる」「理事会の開催頻度はなるべく少なく」と担当者へ釘を刺すような話を数えきれないくらい多く聞くからです。

もっと言えば、自宅の住環境を良くしようと積極的に理事会役員を務める住民に対して、一歩間違うと「面倒な客」としてネガティブに捉える雰囲気が、管理会社にはあるのです。

このような環境下において、フロント担当者のサービス精神が高まるはずがありません。
サービス精神が高まらないフロント担当者が課長になり、部長になれば、管理会社全体がサービス精神を失う姿勢となるのは当然です。

フロント担当者は「個々のマンション管理組合にとって最適な管理を提供するサービスマン」でなければなりませんが、これを徹底する管理会社を我々は見たことがありません。

我々、クローバーコミュニティは、フロント担当者に「提案力」「合意形成能力」「サービス精神」を求め、コンサルタントとして育てる方針としています。